P. 長谷(ちょうこく、Seachannel)

連続的に傾斜する細長い窪みで、通常、海底扇状地または深海平原に見られる。また、谷筋に沿って海底自然堤防が発達するのが普通である。とくに、深海域に発達するものを深海長谷ということもある。



P1. 吐喝喇(とから)長谷 (図V-2)

28°35′N、128°E。水深900-1,050m。長さ155km。沖縄舟状海盆北部の中軸部に位置(ここでは東シナ海大陸棚寄りにある)する。沖縄舟状海盆底には、海盆の長軸方向に平行な断層が発達しており、長谷はこれらの正断層がつくる地溝の低地を流れる。長谷の比深は100m以下。[海6315]



P2. 富山(とやま)深海長谷 (図VI-1,図VI-3,図VI-4,図VI-5)

40°45′N、137°25′E。水深1,200-3,400m。長さ600kmを越す。富山湾沿岸部の大陸棚・陸棚斜面を刻む海底谷は水深1,200m付近で合流し、富山深海長谷となり富山舟状海盆、大和海盆を流れ、大和海嶺の東端を西に迂回し日本海盆に入る。ここでは見事な海底三角州をつくる。同様に、深海長谷が大和海盆に流入するところにも富山深海扇状地をつくる。また、流路を通して蛇行しており、自然堤防も発達している。谷幅4-8km,比深150-450mである。[海6312、6313]



P3. 最上(もがみ)深海長谷 (図VI-1,図VI-3)

39°20′N、139°20′E。水深680-1,300m。佐渡海嶺と東北日本沿岸大陸棚との間の向斜部である最上舟状海盆を北に向かって流れる。2系統の流れがあり、西谷は最上堆の東斜面麓の水深600mから始まり、1,060mで谷は明瞭でなくなる。東谷は粟島海底谷がつくる扇状地末端水深700m付近から始まり、1,300mまでは追跡できるが、扇状地のなかで谷筋は明瞭でなくなる。しかし海底の勾配が増す水深1,600-2,400mでは再び最上舟状海盆底を深く(比深200mを越すところもある)刻むようになり、最終的には水深3,000mの日本海盆に達する。粟島海底谷からたどると260kmに達する。[海6660]